稲村ヶ岳登山(その1)

 正月に見た稲村ヶ岳に再びチャレンジしてきました。
 世界遺産に登録された大峰山の入り口にある山上ヶ岳は、修験道の根本道場として有名な霊山で、女性の立ち入りは禁止ですが、そのなかで稲村ヶ岳は女性が登山をすることが許されていますが、なかなか厳しい山でした。
 平成26年1月16日の6時過ぎに家を出発し川上村にはいると道が雪で凍結していたのでゆっくりと進み、登山口の母公堂には8時30分に到着しました。
 気温は-6度で、天気は快晴ではなく曇り時々晴れ模様です。
 誰もいなく登山者は私一人で、パトカーがきて、遭難した人がいるので気をつけてくださいと言われました。

 

登山道入り口にある母公堂

登山道入り口にある母公堂

 

 8時50分に登山口を出発し、スギ林の中の踏み跡を黙々と歩く。まるで修行をしているみたいだ。

 

スギ林の中の登山道

スギ林の中の登山道

 

 踏み跡をたどり、1時間で法力峠に到着。そこからは広葉樹主体の森が続き、樹氷中を快適に進のみました。だんだん樹氷が現れてきました。

 

樹氷の出現

樹氷の出現

 

 しばらく進むと、はるか向うに高野山の山並みが見えてきました。

 

高野山方面の山並み

高野山方面の山並み

 

 どこまでも樹氷だらけの道が続きます。

 

周りの樹氷

周りの樹氷

 

 見上げると空も樹氷で覆われていました。

 

空いっぱいの樹氷

空いっぱいの樹氷

 

 橋が壊れて危ない所もあり、ゆっくりと慎重にすすみます。

 

落石で壊れた橋

落石で壊れた橋

 

 稲村小屋には12時に到着し、そこで昼食。
 ペットボトルのお茶が凍っていました。風もありじっとしていると寒かったです。
 気温は-10度以下だっただろうと思います。
 稲村小屋も雪に埋まっていました。(続く)

 

雪に埋もれた稲村小屋

雪に埋もれた稲村小屋

 

                  真田 俊秀

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On 2月 2nd, 2014, posted in: 樹木医アラカルト by KO

2014 正月登山

 新年おめでとうございます。

 年末から大掃除などでどこにも外出できず、やっと3日の日は自由になったので大峰山脈方面に出かけることにする。
 家を8時過ぎに出て、観音峰登山口に10時過ぎに到着。すでに駐車場は満車でした。
 10時20分に登山口を出発し、入り口の雪の積もった吊り橋を渡る。

 

登山口入り口

登山口入り口

 

 登山の途中で何組かの下山する人達に遭遇。やや出遅れたか?
 急いで登り11時20分に観音峰展望台(1285m)に到着。
 雲ひとつない絶好のポカポカ天気で、目の前には稲村ケ岳(1726m)の白い山容がそびえ立っていた。

 

稲村ケ岳

稲村ケ岳

 

 ワンちゃんも山に登っていました。向こうに見えるのは近畿最高峰の八経ケ岳(1915m)です。

 

ワンちゃんと八経ヶ岳

ワンちゃんと八経ヶ岳

 

 そこで昼食を食べた後、稲村ガ岳を目指して出発。
 観音峰(1347m)を過ぎたあたりから、雪の中にひざ上まで足がはいり、非常に疲れる。
 縦走するにはスノーシューが必要なのがわかった。
 山上ケ岳(1719m)が見えてきたが、法力峠の手前で力尽きて観音峰展望台まで引き返す。

 

法力峠手前から見た山上ケ岳

法力峠手前から見た山上ケ岳

 

 天気予報では午後から曇る予想だったのに全然雲が出ていない。
 ここで思案して星を撮ろうと思い立ち、登山口まで下山して三脚をかかえ再び観音峰展望台まで登る。
 昼間の好天気で稲村ケ岳は雪が溶け、夕映えはもうひとつでした。

 

夕暮れの稲村ケ岳

夕暮れの稲村ケ岳

 

 星の写真はまだ下界の明かりが届き、撮影するなら真夜中が良いがそこまで待てない。
 それでも、稲村ガ岳の上に見えた、オリオン座、ふたご座、おうし座、ぎょしゃ座などが撮影できました。

 

稲村ケ岳上空の星空

稲村ケ岳上空の星空

 

 星座の名前を記入した写真を添付しておきます。

 

星座を記入した写真

星座を記入した写真


 帰りは真っ暗な道を懐中電灯の明かりを頼りに下山しました。
 たっぷり歩いたので正月のアルコールが抜けてすっきりした気分で家に帰りましたが、そのあとビールをたらふく飲んだので、またアルコール漬けの体になってしまいました。

    真田

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On 1月 19th, 2014, posted in: 樹木医アラカルト by KO

◆◆ネバネバ・カチカチ台湾土壌(その5)

 植栽基盤整備や樹勢回復に土壌改良材は欠かせません。台湾ではどのような土壌改良材が入手可能なのでしょうか。私は台湾に適した土壌改良材を探すのに結構苦労してきました。「ネバネバ・カチカチ台湾土壌」の連載最終回は台湾の土壌改良材の実情について述べます。

■台湾で入手可能な無機質土壌改良材
 台湾で入手できる樹木植栽用の土壌改良材は限られています。特に台湾現地で製造されている無機質系土壌改良材は殆どありません。その事は台湾において土壌改良を実施する上で非常に苦労させられる所です。
 加湿地でシルト質土壌や粘土質土壌の場合、通気性や排水性を高める必要があります。その改良には無機質系の土壌改良材が必要となります。有機物系土壌改良材を用いると通気性が悪い加湿土壌内では嫌気発酵を起こし、かえって土壌を悪化させてしまう危惧があるからです。
 なんとか良い無機質資材が無いかと探し回りましたが、現地産の無機質系資材としては、汚泥を焼成したセラミック状の陶粒(トーリー)と呼ばれる骨材しか見つけられませんでした。陶粒は軽量で硬く扱い易い製品だと思われますが、残念ながら多孔質ではないため、通気透水性改善効果はあまり見込めません。どちらかと言うとセメント混合用軽量骨材として世界各地で使われている材料です。植栽地では地表面を覆うマルチングなどに適した材料となります。
 台湾は面積が九州と同じほどですから、採取できる天然鉱物資源が限定的であるため、無機質土壌改良材が製造されないのは仕方ありません。そのような事から、真珠岩パーライト、黒曜石パーライト、バーミュキライトは園芸材料として輸入されています。保水性に優れる真珠岩パーライトやバーミュキライトは加湿地には適しません。また、ベタベタした粘性土に軟らかく崩れやすいバーミュキライトは均一に混合することもできません。
 そのため、台湾での排水性・通気性・透水性の改良には、日本から輸入した黒曜石パーライトを用いています。日本から輸入された材料は船運賃や関税で高価なものになってしまいますが、それでも昨今の円安で1年前に比べると20%以上安くなり助かっています。

 

 

■台湾で入手可能な有機質土壌改良材
 有機質土壌改良材は台湾にも多く存在します。しかし、日本で一般的なバーク堆肥は存在するものの一般的ではありません。台湾で幾つかの有機質土壌改良材を調べましたので、次表に示します。

 

 

 製造されている製品の大半はサトウキビ粕や木屑に食品残渣を混合して作られています。混合されているものは多岐に渡り、産廃にまわされた残渣を用いていると思われます。
 残念ながら台湾各地から取り寄せた堆肥の半分近くは、悪臭がきつくベトつくなど、堆肥として未熟なものでした。品質は安定せず熟度の低い堆肥が結構市場に出回っているようです。上記表の堆肥はそれらの中から比較的良さそうなものを選択し分析値を比較したものです。表に記載したものは概ね乾燥し悪臭はしないものの、堆肥の品質基準で用いられるC/Nは全般的に高い値を示しています。ですから台湾で良質な有機質堆肥を入手するのは結構苦労するかも知れません。まずは堆肥の良し悪しを判別できる目を養う必要がありそうです。
 頻繁に耕す畑ならまだしも、加湿地で通気不良の植栽現場に有機質堆肥を用いるには十分な注意が必要です。熟度が低い未熟な堆肥を加湿地に混合すると、少ない土中内酸素を奪い取り、ますます樹木の根が呼吸できなくなり根腐れを起こしてしまいます。また未熟有機物の分解過程で、周辺土壌から樹木の主要分である窒素も奪い取り、窒素飢餓に陥る場合があります。そのような事から有機物堆肥は加湿地の土壌改良には適さないとも言えるでしょう。
そこで私は有機堆肥を用いる場合は、極力、輸入品のピートモスを用いるようにしています。ピートモスはカナダやロシアや北欧から輸入されています。椰子の実から取れるココピートもスリランカなどから輸入されていますが、自然熟成したピートモスの方が加湿地では安心と考えています。
 以上のように台湾で土壌改良を行うとすると資材調達に困るのが実情です。今後は自らが良質な土壌改良材を台湾で作っていき、台湾の植栽技術の向上を図ると共に、都市の環境改善に少しでも貢献できればと考えているところです。

 5回に渡り「ネバネバ・カチカチの台湾土壌」と題して記してきました。もし、台湾で樹木にまつわる仕事をすることがあれば、台湾の土壌特性を理解した上で臨んでいただければ、またこの連載に記してあることが少しでもお役に立てればと願う次第です。

 笠松滋久

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On 1月 12th, 2014, posted in: 樹木医アラカルト, 緑と樹木について by KO

京都「八重の桜」ゆかりの地を訪ねて

 NPOおおさか緑と樹木の診断協会では、NHK文化センター梅田教室から受託し、「樹木医とめぐる巨樹・巨木」という現地講座を毎月(原則第2金曜日)開催しています。

 平成25年12月の開催は、NHK大河ドラマ「八重の桜」ゆかりの地を訪ねました。
 案内は京都樹木医会の高木邦江樹木医が担当しました。
 小雨のぱらつく寒い京都、受講者は12名、総勢15名での開催です。

 

 

釜座通(京都府庁前)のケヤキ並木です。
 昭和初期にはシダレヤナギの並木だったものが,ケヤキに植え替えられました。
 沿道の市民が,街路樹サポーターとして落ち葉清掃等をしてくれていることや比較的広い交通量の少ない街路であることから、美しい樹形で揃っています。
 京都市では、二段階剪定など街路樹の管理に力を入れているとのこと。他の自治体にも参考にしてもらいたいものです。(※但し、ケヤキについては二段階剪定は行っていません。)

 

 

京都府庁旧本館は、京都府京都市上京区にあるルネサンス様式の建築物で国の重要文化財に指定されています。京都府の技師を務めた松室重光の設計により、1904年(明治37年)竣工。かつては京都府庁舎本館として使用されていました。
ここは、京都守護職の上屋敷跡で、作庭は小川治兵衛によるものです。

 

 

 

 

樹齢300年のビャクシンは区民の誇りの木に指定されています。

 

 

 

 

 中庭は桜の名所になっており、円山公園にあった初代祇園しだれの孫や佐野藤右衛門氏によって命名された容保(かたもり)桜などが春には多くの人々を楽しませてくれています。

 

 

 次に訪ねたのは京都御苑です。
 京都御苑一帯は、平安時代には貴族などの邸が置かれ、江戸時代にはおよそ200軒もの公家屋敷が立ち並んでいました。
 明治2年の東京遷都後、大内保存事業(明治10年から16年)によって、これらの遺構の多くが撤去され、皇室苑地として整備されたのが現在の国民公園京都御苑の始まりです。
 東西約700メートル、南北約1300メートルの広大な敷地では数々の巨樹・巨木に巡り合うことが出来ました。

 

 

 エノキの大木ですが、目立たない場所にさりげなく。

 

 

 

 ナラ枯れ対策のため、幹に薬剤をコーティングされたものやビニールをまいたものが見られます。
 ミズナラやコナラといった被害の多い樹種だけでなく、ブナ科の樹木にはほとんど対策が施されていました。大事にされています。

 

 

 

 かっこいいクスノキです。
 広大な敷地を利用して、伸び伸びと育っています。

 

 

 

 凝華洞院のイチョウ
 黄葉の季節は圧巻です。雄株のため、銀杏はなりません。

 

 

 

 

 マツに生えたサクラ

 

 

 

 

 

 清水谷家のムクノキ
 実が沢山なっており、意外とおいしいと皆さん食べていました。

 

 

 昼食は河原町今出川の漬物屋さん「田辺宗」で天丼を食べました。
 ぷりぷりのエビが4匹も入っていましたよ。茶碗蒸しにも同じエビが一匹。ほっこり温まり、お土産には高級な千枚漬けを奮発しました。

 

 

 

 

 

 ここから、豆餅を頬張りながらバスで移動しますが、途中、車両入替で下車したため、真如堂から入り、金戒光明寺へ向かいました。

 

 

 

 金戒光明寺にある熊谷直実ゆかりの鎧かけの松があったところです。
 熊谷直実はここ黒谷の法然上人を尋ね、方丈裏の池にて鎧を洗いこの松の木に鎧を掛けて出家したと伝えられています。残念ながら今年の9月ごろから急に樹勢が弱まり、10月には枯死しました。松の材線虫病が原因と考えられます。来春には、境内にある別のクロマツが3代目として移植される予定です。

 

 

 

 ケヤキにライトが食い込み、根元もこの状態。

 

 

 哲学の道は桜で有名ですが、ここでも桜の健全性を保つための土壌改良がおこなわれています。
 狭い植栽スペースをどのようにして改良したのか高木樹木医から説明を受けました。

 

 

 この上に新島夫妻が眠る墓地があります。

 

 

 昨年の講座では満開のインクラインを歩いたことを思い出しました。

 この日の講座は小雨もぱらつく寒い中よく歩きました。一行は河原町まで京都を散策、みんなでお茶してほっこりし、解散となりました。

 「樹木医とめぐる巨樹・巨木」はNPOおおさかに所属する樹木医を初め、近畿の各樹木医によって大切に守られている各地の巨樹・巨木をめぐります。詳細についてはNHK文化センター梅田教室(担当:尾藤)までお問い合わせください。

宮本 博行

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第3回街路樹研修会「災害に強い街路樹を目指して」開催のお知らせ

第3回街路樹研修会案内P1

第3回街路樹研修会案内P1

 

第3回街路樹研修会案内P2

第3回街路樹研修会案内P2

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On 1月 6th, 2014, posted in: NPOおおさかの活動, 緑と樹木について by KO

◆◆ネバネバ・カチカチの台湾土壌(その4)

 前号までに台湾のネバネバ・カチカチ土壌の実情について記しました。それでは具体的にどのような植栽基盤整備や土壌改良をすれば良いのでしょうか。以下に先日台湾で実施したクスノキの樹勢回復処置現場を紹介します。

■通気性(透水性)と排水対策
 これまで述べてきたように、多くの台湾土壌はシルト・粘土分が多いベタベタとした通気・透水性の悪い土壌です。また、重機転圧や踏圧がかかるとカチカチに締め固まります。とりわけ台北近郊はもともと湖と湿地帯であった訳ですから、ベタベタの土壌で排水不良に十分な対策を要します。
 以下に示す写真は(その2)で紹介した、台北市内中心部の公共施設外構植栽の樹勢回復処置を施したときの写真です。3年前に植えられた高さ12mを越えるクスノキは、年々樹勢が悪化し瀕死の状態となっています。基盤を調べたところ、70㎝深さで滞水が見られ、50cm深さまでは水が上下していた痕跡が見つかりました。12mを越える樹木が50cmの深さしか根が張れない状況です。また樹木周辺の埋め戻し土はSiCL(シルト質植壌土)ですが、指触法で土の固さを確認したところ、指で押した跡がかろうじて残るくらいの固く締まった土壌でした。そのような事から、確実な排水を確保し、土壌を軟らかくして通気透水性が改善できる手法を採用しました。

 

土壌改良(黒曜石パーライトを底敷き)の状況

土壌改良(黒曜石パーライトを底敷き)の状況

 

 具体的には滞水が確認された70㎝深さに黒曜石パーライトを底敷きし、埋め戻し土にはパーライトとピートモスを混合した新たな客土材を入れました。養分供給として遅効性の化成肥料も少し入れています。底敷きした黒曜石パーライト層は集水枡につなげ、植栽帯の水が排水されるようにしています。また、酸素管を立ち上げ土壌通気性を向上させました。
 クスノキは日本でも多い親しみのある木です。日本でも同様の樹勢回復処置は多く行われてきました。台湾は気温が高く生長量が高い環境ですから、これからどのようなスピードで回復していくのか見守りたいところです。

 笠松滋久

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On 1月 5th, 2014, posted in: 樹木医アラカルト, 緑と樹木について by KO

◆◆ネバネバ・カチカチの台湾土壌(その3)

 台湾で植栽用客土として販売している土壌を分析しました。主に台湾随一の園芸の町「田尾」と言うところで分けてもらった土壌ですが、他に彰化縣と言うところの海際の造成地で採取した土壌や、台北市近くの陽明山付近で採取された土壌が含まれています。
 台湾でも日本と同様の分析が可能ですが、有効水分保持量だけは測定できません。有効水分値は、土壌に吸着される水のポテンシャルを表すもので含水率や吸水率とは異なります。実際に植物体に供給可能な土壌水分量を示すもので、西日本のマサ土など、保水性の乏しい土壌を調べる際には重要な分析項目となります。しかし、シルトや粘土分の多い台湾においては保水量が高い土壌のため、有効水分保持量を測定する必要が無いのかもしれません。幾つかの大学や分析機関を回り確かめましたが、どこも有効水分保持量を測定してくれるところはありませんでした。

■台湾の植栽用土壌分析
 次の表は国立中興大学で分析頂いた結果を日本造園学会の評価基準に照らし合わせて評価した一覧です。客土材といっても結構基準を満たしていない土壌が販売されています。台湾における植栽用客土材の大半は、工事で出た残土を再利用しているようですから、基準を満たさないものが出回っていても不思議ではありません。pHなどはチェックされているようですが、それでもアルカリ性を示す土壌が客土材として販売されているようです。自然界の台湾の土壌は日本と同様に弱酸性を示しますから、残土にセメントなどのアルカリ物質が混合されたのかもしれません。

 

*腐植含量は有機質÷係数1.72で算出。%=g/kgx10で換算。

*腐植含量は有機質÷係数1.72で算出。%=g/kgx10で換算。

 

 分析した土壌で共通している点は、土壌の基本的性質を知る上で重要な分析項目である土性(粒径組成)が、海浜埋立地で採取した彰化縣の土壌以外は、いずれも粘性が高いという点です。田尾で入手した土壌はいずれもSiC (シルト質壌土)かSiCL(シルト質埴壌土)とシルト分の多い土壌だとわかります。台北市近くの陽明山で採取された客土はHC(重粘土)と極めて粘土分が多い土壌です。シルトや粘土分が多い土壌は、含水量が多くべたべたの土となります。陽明山の土壌は粘土細工や陶器を作るのに適した粘土含有量となります。
 下の三角座標にそれぞれの分析値をプロットしました。網掛けしてある部分が、日本造園学会が示す客土材の品質基準として適合している範囲です。海際で採取した彰化縣の土壌しか適合せず、他の土はいずれもシルトと粘土が多い、ベタベタとした通気性や透水性が悪い土壌だとわかります。
 ですから、台湾における植栽シーンでは、まずは土壌通気性と透水性や排水性の改良が重要となる訳です。

 

 

 次号では、台湾の土壌改良材と植栽基盤整備手法についてご報告します。
 笠松滋久

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On 12月 29th, 2013, posted in: 樹木医アラカルト, 緑と樹木について by KO

◆◆ネバネバ・カチカチの台湾土壌(その2)

 これまで台湾において何箇所もの土壌調査を実施してきました。調査は都市が多く存在する台湾の西側地域を中心に行ってきました。ですから台湾東側の土壌についてはあまり詳しいとは言えませんが、調査でよく見かけた台湾の植栽基盤について報告します。

■よく育つ環境が植栽基盤整備への関心を削いでいるのでは
 台湾では、植栽計画に当たって予め土壌調査を実施するのは稀なようです。土壌や基盤の特性を把握せずに植栽するものですから、枯損率は非常に高いのが実情です。短期間に大量の樹木を植える街路樹植栽では、枯損率が30%を越えるものも少なくはありません。
 多少の手間と経費をかけても、予め調査を行い植栽基盤の問題点を掴み、問題を改善した上で植栽する方が、枯損が減り、結果トータル経費が削減できる点や、将来に健全で立派な樹木を残すには植栽基盤整備は欠かせない事を説いて回っている次第です。
 しかし、温暖で降雨の多い台湾では、ほっておいても樹木は育つと思われがちのため、なかなか調査の必要性が浸透するには時間がかかりそうです。

 

撮影 2009年      撮影 2013年

撮影 2009年      撮影 2013年

 

 上の写真は2008年に植栽されたタイワンモクゲンジです。今現在も回復を待ってそのまま放置されています。驚いたのは、私はすっかり全滅していると思っていた樹木が、4年経った現在、一部の樹木は葉を出し始めています。回復力のある樹木特性と温暖多雨な台湾の気候風土により、枯死寸前の樹木でも回復する場合があるようです。そのためか、植えれば何とかなるとの風潮が定着しているかもしれません。
 ここの場合、植栽帯が高植え状になっていることが幸いしていると思われます。日本では4年間もの間、このような状況で放置されることは考えられません。しかもこの場所は人が多く出入りする新幹線ターミナルビルの外構植栽です。

■台湾での試坑断面調査例
 次の写真は宜蘭縣の大きな公園で実施した土壌調査時に撮影したものです。宜蘭縣は先のNPOおおさか台湾ツアーで行った福山植物園や国立宜蘭大学があるところです。宜蘭は台湾の北東部に位置するところで、私が調査を行った中で唯一の台湾東側の場所です。

 

奥(下)に行くほど小さくなるシマトネリコ    下側の土壌を掘ると湧水がでる

奥(下)に行くほど小さくなるシマトネリコ    下側の土壌を掘ると湧水がでる

 

 傾斜した園路の両脇にシマトネリコが植わっていますが、園路の下に行くほど樹木が小さいのがわかります。この並木は同じ時に同じサイズのシマトネリコが植えられたのですが、下方のシマトネリコは生長がわるく、支柱も付けたままになっています。土壌断面を掘り起こすと下方の断面では40~50cm深さで水が湧いてきました。写真の奥に池が写っていますが、園路の下方ではこの池の水がしみあがってきます。

 次の図は同じく宜蘭縣にある森林公園内で実施した試坑断面調査結果です。この断面図からもわかりますが、表層20~30cmにはLoam(壌土)が造成により敷きこまれていますが、下層は通気性がわるいSilt Loam(シルト質壌土)で構成されています。そして下層は水分量が多くWet(多湿)状態であるため、樹木の根は表層にしか発達できずにいます。

 

 

 次の図はクスノキの状態が悪いと相談を受けた際、試坑断面を掘り取って確認した土壌の断面図です。場所は台北市内中心部に位置する大きな公共施設の外構植栽場所です。やはりシルト質土壌で固結しており、下層は滞水しています。

 

*表は中国語繁体字で表記されています。

*表は中国語繁体字で表記されています。

 

上記以外の場所でも、試坑断面を掘り取ると、樹勢が悪いところでは殆どのケースで滞水と固結と通気透水不良が見られます。台湾において植栽計画を実施する場合、また樹勢が悪いと相談された場合、まずは植栽基盤の排水性と土壌通気と透水性に問題が無いかを疑った上で、調査を実施し、対策を講じる必要があります。

次回は台湾の客土材の分析結果から、その特徴についてお話します。

笠松滋久

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On 12月 22nd, 2013, posted in: 樹木医アラカルト, 緑と樹木について by KO

世界文化遺産・奈良公園の巨樹・巨木をめぐる

NPOおおさか緑と樹木の診断協会では、NHK文化センター梅田教室から受託し、「樹木医とめぐる巨樹・巨木」という現地講座を毎月(原則第2金曜日)開催しています。

 平成25年11月の開催は、世界文化遺産・奈良公園周辺に点在する巨樹・巨木を訪ねました。
 案内は奈良県樹木医会にお願いし、天野樹木医、木南樹木医、清野樹木医、中嶋樹木医の4名が紅葉の始まった奈良公園を案内してくれました。
 受講者は12名、総勢18名での開催です。

 

 

 

 ムクノキの巨樹です。祠の近くの木は大事にされますね。熟した実は甘酸っぱくて食べられました。

 

 

 

 雷が落ちたのか、主幹が折れて、空洞になったところを詰められています。コンクリートで蓋をするのは良くないというのが定説になっていますが、空いたままだと鹿のねぐらになりそうです。

 

 

 

 奈良公園の名物になっているムクロジです。
 主幹の空洞部をモウソウチクが貫いています。奈良公園では鹿に食べられる中、竹もいい場所を見つけたものです。

 

 

 奈良公園の紅葉はナンキンハゼから始まります。
 外来種で、お口に合わないのか鹿はナンキンハゼを食べません。
 一説では、トウダイグサ科のナンキンハゼには毒もあるとか。

 

 

 

 

 1本に見えるクスノキの巨樹ですが、近くに植えられた3本が絡み合っています。植栽されてから105年の時間と空間の作品です。

 

 

 イロハモミジに着生するオオバヤドリギ

 

 

 ヤブツバキに着いたヒノキバヤドリギ

 

 

 万葉植物園にあったヤマナシです。
 落ちていた果実は酸っぱくて硬かったけど十分食べられるものでした。

 

 

 

 臥竜のイチイガシ

 

 

 アカマツの薬害と思われます。松の材線虫病予防のため、樹幹に打った薬の処方が悪かったようです。

 

 

 

 

 ケヤキです。空洞に歴史を感じます。

 

 

 常緑針葉樹であるナギの葉は寿命が7年もあるとか。

 

 

 

 

 春日大社境内のフジです。奈良公園では藤原氏との関係から昔からフジがあまり着られずに残っています。万葉植物園には多くの品種が集められていますし、春日山原始林の中でも大きく成長したフジを見ることができます。

 

 

 ご神木のスギですが、根本はかわいそうな状況です。倒れたりしないか心配です。

 

 

 

 

 クスノキの老巨樹です。雰囲気ありました。

 

 

 一休み、そういえば、休憩もなくよく歩きましたね。

 

 

 

 

 アカメヤナギです。水辺に自生していたと思われますが、石が積まれ、根本が埋められて、キノコも生えて来てしまいました。パイオニアプランツであるアカメヤナギは成長も早いですが、腐るのも早いので要注意です。

 

 

 

 奈良県庁の屋上緑化は一般開放されており、眺望を楽しむことが出来ます。
 紅葉が始まり、ナラ枯れとの区別もつきにくくなっていますが、奈良でもナラ枯れは深刻です。

 今回出会った主な植物は、オオバヤドリギ、ヒノキバヤドリギ、ムクノキ、イチイガシ、スギ、クスノキ、ムクロジ、モウソウチク、シダレザクラ、イロハモミジ、ヤブツバキ、ミツマタ、トチノキ、カリン、ヤマナシ、アリドオシ、ヤブコウジ、カラタチバナ、センリョウ、マンリョウ、ナギ、フジ、アカメヤナギなどでした。

 「樹木医とめぐる巨樹・巨木」はNPOおおさかに所属する樹木医を初め、近畿の各樹木医によって大切に守られている各地の巨樹・巨木をめぐります。詳細についてはNHK文化センター梅田教室(担当:尾藤)までお問い合わせください。

宮本 博行

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On 12月 20th, 2013, posted in: 樹木医アラカルト, 緑と樹木について by KO

ツワブキ

 キク科植物で古くから庭や公園に植えられていますが、本来は海岸近くの植物です。 波打ち際の岩の根もとや防風林のきわなどに自生しています。
 自生している地域は広く、太平洋側は福島県の海岸から以南、日本海側では石川県以南に分布しています。 沖縄の海岸にも見られます。
 庭に植えられるのは、日本造園様式が景石を配置されている場合が多いので、よく合うためだと言われています。 暗緑色できれいな光沢のある葉は、日本の石組みによく合います。 また、松林や広葉樹林の林縁でも元気に生育しています。
 10月から12月にかけて咲く黄色の花も人気があります。 花は比較的に大きく、直径4cmから6cmもあります。 最も大きく咲くものにオオツワブキと呼んで、九州の海岸に自生しているそうです。
 九州のオオツワブキは、葉柄を粕漬けにして土地の名産にしているようですが、私は佃煮にします。 我が家の団地には、沢山のツワブキが植えられていますが、これは取りません。 桜が咲いたときに枝を折り取るのと同じ窃盗に類する行為だと思います。
 ツワブキは、古くはツバ、ツワ、ツヤと呼ばれていたようですが、今でもこの名前で呼んでいる地方があるそうです。 出雲国風土記は奈良時代の初期、和銅6年(713)の詔勅によって書かれた地誌ですが、天平5年(733)に完成しました。 この地誌のなかにツワブキのことが古名で出ているそうです。
古名はツバ、ツワ、ツヤのどれなのかわかりません。
 ツワブキは、漢方薬店ではあまり売っていない薬草ですが、打撲、火傷、霜焼け、痔などに生の葉の汁を塗ると言われています。 一株でもよいので、庭に植えたいですネ。

 

ツワブキ1

ツワブキ1

 

ツワブキ2

ツワブキ2

 

澤田 清

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On 12月 18th, 2013, posted in: 樹木医アラカルト, 緑と樹木について by KO