堺の古道と古樹を訪ねる

 NPOおおさか緑と樹木の診断協会では、NHK文化センター梅田教室から受託し、「樹木医とめぐる巨樹・巨木」という現地講座を毎月(原則第2金曜日)開催しています。

 平成26年1月は、寒い時期でもありましたので、午後からの開催とし、昨年1400年を迎えた竹内(たけのうち)街道沿いに点在し、人々の営みを見守り続けてきた貴重な古樹を訪ねました。

 案内は私、宮本が担当しました。受講者は12名、総勢14名での開催です。

 竹内街道は、堺市の大小路から河内平野を東に向かい、松原市南部・羽曳野市を経て太子町に入り、大阪・奈良の府県境に位置する二上山の南・竹内峠を越えて奈良県葛城市の長尾神社に至る全長26kmの街道です。
 「日本書紀」の推古天皇21年(613年)の11月の条に「難波(大阪)より京(飛鳥)に至る大道(おおじ)を置く」と記述があることから、日本最古の国道(官道)と呼ばれており、2013年で1400年を迎えました。
 起点である大小路から街道を行くと百舌鳥古墳群や開口神社、仁徳天皇陵古墳、金岡神社と堺市内でも歴史的な史跡が多く存在します。

 

 

近鉄南大阪線「高見ノ里駅」に集合し、竹内街道の西半分を踏破します。

 

 

個人から市に寄贈され、広場として整備されています。
立派な高生垣が目に留まりました。

 

 

高見神社にはイチョウ、エノキ、クスノキが都市化の圧力に耐え大地に根を張っています。敷地の狭さ、踏圧、相隣関係による過度な剪定など古樹を取り巻く状況は年々厳しくなっています。

 

 

 

西教寺のカイズカイブキです。下見の際にこの日の訪問をお伝えしていたこともあって、温かく迎え入れてくださいました。カイズカイブキは堺市の指定樹木になっています。第2室戸台風で倒木したものを起こして、支柱で支えたそうです。一度倒れたとは思えない立派な樹ですが、支柱の食い込みは痛々しいです。大事にされています。

 

 

八坂神社(野遠町)のクスノキです。堺市指定樹木です。

 

 

八坂神社(中村町)にある堺市指定のクスノキです。境内には合わせて3本のクスノキがありますが、周辺は工場や民家が近接しているにもかかわらず、あまり剪定されることなく大きく育っています。しかしながら、地中の環境は良くないのでしょう、主幹には空洞があり、枯れ枝も目立ちます。

 

 

 

 

次に訪れたのは金岡町にある光念寺です。
住職の松野さんが、中にある樹木を一本一本丁寧に説明してくださいました。また、それぞれの樹木にはこの日のために新たにプレートが設置されており、おもてなしの心を感じた次第です。

 

 

堺市指定保存樹木「光念寺のクスノキ」です。

 

 

堺市指定保存樹木「光念寺のクロガネモチ」です。

 

 

 

庭園内を案内していただく中で、印象に残ったのがこちらのクチナシです。3メートル程度にまで成長し、黄色の染料になる実が沢山実っていました。
このほか、マユミ、ハチク、カキノキ、ウバメガシ、ネズコなどについて、詳しく説明してくださいました。

 

 

金岡神社では3本のクスノキが堺市の保存樹木に指定されています。初詣ではすごい人出だと地元のおばあちゃんが話してくれました。

 


このクスノキは指定樹木にはなっていないのですが、枯れた株の中から八岐大蛇(やまたのおろち)のように伸びるクスノキの大枝に関心を示すのが通な受講生たちです。

 

 

金岡神社頓宮であったところのクスノキです。堺では一二を争う大木で、美しい樹形をしています。
周辺はすっかり市街化され、クスノキのあるこの敷地も楠塚公園として整備されました。
根元には大人も入れるほどの空洞があって、竹の柵で保護されています。

 

 

主にクスノキの巨樹で形成された長曽根神社の社叢(しゃそう)です。

 

 

 

共有墓地のほぼ中央に大きなクロガネモチを発見。頑張っている姿にエールを送りました。

街道沿いには思いがけないところに緑の一里塚とも言える古樹が多く残っていました。
また、将来の大木に育てるべく、竹内街道1400年記念事業として、エノキが植栽されていました。

 

 

大阪府指定天然記念物に指定されている方違神社のクロガネモチです。歩道をふさぐ形になっていますが、大切に保全されています。お隣の寿司屋さんでは沿道のシダレザクラ、クロガネモチの名前を冠したコーズ料理が提供されています。

 この後、方違神社境内のクスノキ、イチョウなどの樹木を観察した後、堺東での解散は予定を1時間以上オーバーしていました。
 総歩行距離は10キロ強、5時間弱の行程で、少々ハードではありましたが、参加した皆さんは堺の街の美しさや出会った人のやさしさに触れることができて喜んでいただきました。

 「樹木医とめぐる巨樹・巨木」はNPOおおさかに所属する樹木医を初め、近畿の各樹木医によって大切に守られている各地の巨樹・巨木をめぐります。詳細についてはNHK文化センター梅田教室(担当:尾藤)までお問い合わせください。

宮本 博行

Comments are closed.