I樹木医との台湾紀行(その2:台湾総督府の樹木診断)

 5週にわたる台北での剪定講習会に参加していたI樹木医に緊急依頼が舞い込んで来ました。台湾ではよくある話です。日本から樹木医が来ている。それならば、見て欲しい木があると連れてこられたのが台湾総督府です。

 台湾総督府は日清戦争後に割譲された台湾を統治するために日本人によって建てられた建物です。日本で最初に行われた設計コンペにより建物は1919年に完成しています。
 総督として赴任した乃木希典、児玉源太郎、明石元二郎など、民政長官に就任した後藤新平、農業技師として招かれた新渡戸稲造など、多くの歴史的人物がこの建物で職務を遂行しました。

 

台湾総督府

台湾総督府

 

 現在は台湾総統が公務を行う総統府として活用されています。日本で言うなら首相官邸のようなものですね。そんなところにいきなり連れて来られて、戸惑うかと思いきや、I樹木は平然と樹木の診断を続けます。さすが沈着冷静なNPOおおさかの樹木医です。ミーハーなそぶりは一切見せません。
 台湾に来てから食べるものすべてを写真に撮るのに総督府の建物には見向きもしません。興味があるのは食事と樹木だけ。せっかくこんな所に来たのだからと私がワンショット撮って差し上げました。

 

台湾総督府前庭でのI樹木医。もちろんここに入るにも許可が必要です。写真には写っていませんが周りには多くのガードマンが取り囲んでいます。そんな中、怪しげな迷彩色のズボンをはいて調査するI樹木医でした。

台湾総督府前庭でのI樹木医。もちろんここに入るにも許可が必要です。写真には写っていませんが周りには多くのガードマンが取り囲んでいます。そんな中、怪しげな迷彩色のズボンをはいて調査するI樹木医でした。

 

 予め申し込みをしておけば、総督府内部を視察することは可能なようですが、一般観光客が簡単に入れるところではありません。内部に入るにはパスポートを提示し、飛行機搭乗時の安全検査で通るようなゲートをくぐらされ、尚且つ、携帯電話、カメラなどは預けなければなりません。もちろん危険物は持ち込めません。ですが我々は特別許可をもらって樹木検査用鋼棒(一般人が見たら凶器)と剪定バサミと測定道具だけは館内にも持ち込みさせて頂きました。

 診断したのは、建物前庭に植わるインドシタン(ヤエヤマシタン)Pterocarpus indicus、ゴヨウマツ、ソテツ、総督府中庭に植わる台湾油杉Picea morrisonicola Hayataです。
 前庭は土壌が固結し表層にしか根が張っていないようである。ゴヨウマツは、葉がすす葉枯病のように葉先から褐変しているが、すす葉枯れ病のように小斑点がない。さび病でも赤斑葉枯病でもなさそうです。現地の人は5月か6月になれば葉は緑色に戻ると言う。
 中庭の油杉はコンクリートで作られた植え枡に植わっており根が回りきっています。前庭の樹勢回復には、土壌潅注などで土壌を軟らかくして通気性を高める必要性があるとの話をしました。

 

葉先から褐変したゴヨウマツの葉

葉先から褐変したゴヨウマツの葉

 

笠松滋久

On 3月 17th, 2015, posted in: 樹木医アラカルト, 緑と樹木について by KO
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