I樹木医との台湾紀行(その1:街路樹の診断)

 平成27年3月1日より大阪のI樹木医と一緒に台湾入りです。これから4月中旬まで延べ5週間に渡り、4名の樹木医さんによって台北で剪定実技講習会を開催します。台北市や大安森林公園基金会と言うところから依頼を受け、街路樹診断協会を通じて講師となる樹木医を募集したところ、I樹木医以外には、長野、福岡、長崎県の樹木医が講師と決まりました。I樹木医は先頭バッターで2週間滞在して頂きます。私はI樹木医の渡航にあわせて台湾出張ですが滞在は1週間だけです。I樹木医には引き続きもう1週間滞在いただくことになります。

 ところが渡航直前にいきなり予定変更の連絡が入りました。第1週目は街路樹を用いて剪定実習をする予定だったのですが、道路使用許可が下りていないことがわかり急遽予定変更です。ちょっと日本では考えられない段取りですが海外ではよくこんなことが起こります。私は幾度とそのような経験を積んできましたが、台湾渡航二度目のI樹木医にとっては不安だらけのスタートです。
 台湾の関係者と協議したところ、1週目は高所作業者を用いない街路樹の診断を実施することになりました。幸いに診断道具は私の台湾の事務所に置いてあります。

 

コウエンボクを丁寧に診断するI樹木医

コウエンボクを丁寧に診断するI樹木医

 

 診断する街路樹は、コウエンボクPeltophorum pterocarpum とフウ(タイワンフウ)Liquidambar formosanaの15m前後の並木です。コウエンボクは黄色い花を咲かせるマメ科の植物で、日本では黄炎木と記しますが台湾では盾柱木と記します。フウは楓香と記されています。
 フウは比較的健全ですが、マメ科のコウエンボクはけっこう傷んでいます。空洞化、樹皮欠損、キノコがいたるところに見受けられます。しかし、温暖な気候で生長の早いマメ科だからでしょうか、樹皮が浮いたり腐っているところには不定根が良く発達しています。少々の傷みなら自助回復いていく樹木が多いのかもしれません。

 

樹皮の裏側に発達する不定根。真ん中にへばり付いているのは台湾のトカゲ。

樹皮の裏側に発達する不定根。真ん中にへばり付いているのは台湾のトカゲ。

 

 キノコはコフキサルノコシカケが多く見受けられました。台湾大学で菌類の研究をしていた人が実習に参加されており、台湾では南方霊芝と書くと教えてもらいました。霊芝(レイシ)と書くなら、ひょっとして漢方薬や薬膳酒に用いるマンネンタケ?と思いましたが間違いなくコフキサルノコシカケでした。

 

コウエンボクの根元につく南方霊芝(コフキタケ)

コウエンボクの根元につく南方霊芝(コフキタケ)

 

 I樹木医は通訳を伴いながら160本の簡易診断を実施し、うち1/3程に対して外観診断を実施されました。外観診断で明らかに緊急対処を要する二本のコウエンボクに対しては、支柱を取り付けるなどの処置を施しました。支柱の取り付け方、結束の仕方も講習会となってしまいました。I樹木医は親切です。丁寧に解説しながら現地の人(実は台北市の公園管理課に配属されている現業職員でした。)に教えますが、どうもI樹木医と同じようには結束できません。手先が器用な日本人は縛るのがうまいと言うのは本当の話ですね。

笠松滋久

On 3月 14th, 2015, posted in: 樹木医アラカルト, 緑と樹木について by KO
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