NPOおおさか緑と樹木の診断協会では、NHK文化センター梅田教室から受託し、「樹木医とめぐる巨樹・巨木」という現地講座を毎月(原則第2金曜日)開催しています。

 平成26年2月の開催は、吹田市にある万博記念公園内の樹木を訪ねました。
 案内は万博公園での勤務経験もある大槻憲章樹木医にお願いしましたところ、万博公園の植栽メンテナンスにかかわる信原元樹樹木医と岩井美菜子樹木医も応援に駆けつけてくれました。受講者は9名、総勢14名での開催です。

 ご記憶の方も多いかとは思いますが、大阪万博は1970年、81の国と国際機関が参加して、戦後日本では東京オリンピックに次ぐ国際イベントとして行われました。
 最終入場者数の6421万人は2010年の上海万博までトップであったとのことです。

 

 

 前日からの大雪で一面の銀世界、積雪は10センチを超える中、受講生の皆さんは重装備です。
 滑って転んだりしないよう大槻樹木医の説明を受けて出発です。

 

 

 万博記念公園自然文化園と日本庭園は入園料250円を支払って入ります。迎えてくれた太陽の塔は雪の中でも堂々としたものです。

 

 

 2月14日といえば早咲きの梅が咲き始め見頃を迎えているだろうと考えたのですが、この状況です。

 

 

 

 こんな中、来ていたおじさんの話では、万博公園の梅林は国内でも有数の品種数を誇っているそうです。
 雪の重みに耐える梅の花、大槻樹木医の品種解説が続きました。

 

 

 

 

 茶畑の看板には園内の撤去木が利用されていますが、徐々に腐り、そこに生えたのが1本の桜です。
 柱の中央部分に落ちた種から発芽し、根は地中に達しています。将来が楽しみなたくましい桜です。このまま成長を続けてほしいと思い、信原樹木医、岩井樹木医に守ってよとお願いした次第です。

 

 

 ケヤキの並木が雪化粧しています。10年に一度のシャッターチャンス。でも、雪が降り続いている中、いい写真は難しいですね。

 

 

 普段は楽しいせせらぎの飛び石もヒヤヒヤです。

 

 

 

 ネコヤナギです。

 

 

 花の丘です。季節になれば、アイスランドポピーやコスモスが一面に咲き誇るそうです。

 

 

 ため池からは水蒸気が。

 

 

 プラタナスの並木道です。台風の被害で多くの倒木がありましたが、可能なものは引き起こされました。
 剪定によって形も整えられ、春の芽吹きが楽しみです。

 

 

 このシダレザクラは上の枝は上に伸び、大きく伸び伸びとしています。

 

 

 

 木のないところはほぼ雪しか見えません。この日の積雪は多い部分で15センチほどありました。

 

 

 つづいて日本庭園を見学しました。
 この日本庭園は1970年の日本万国博覧会の開催に合わせ、世界中から訪れた方々に日本の造園技術の粋を披露することや林立する近代建築パビリオンの未来空間と対比して、自然・緑の憩いの場を提供することにありました。
 庭園の広さは26ha、東西1300m、南北200mの細長い地形に水の流れを造り、日本万国博覧会のテーマである「人類の進歩と調和」をこの流れにたくし、時の移り変わりを表現しています。
 中央休憩所から築山と池を望みます。遠方に見えるのは山の芝生がいつも美しく管理されているのですが、スキー場のようになっていました。

 

 

 ツバキが咲いていました。

 

 

 この日本庭園造成前の千里丘陵には大規模な竹林が広がっていました。
 日本庭園の計画段階で郷土の植物を再現するため作られたそうです。

 

 

 竹林にはよく見られるイヌビワです。

 

 

 

 平安時代の庭を表現した上代庭園です。
 中国大陸の影響を大きく受けて王朝文化が開花しました。

 

 

 現代庭園のエリアで、未来を象徴する明るく立体的なデザインの庭が表現されています。

 「樹木医とめぐる巨樹・巨木」はNPOおおさかに所属する樹木医を初め、近畿の各樹木医によって大切に守られている各地の巨樹・巨木をめぐります。詳細についてはNHK文化センター梅田教室(担当:尾藤)までお問い合わせください。

宮本 博行